公益社団法人 日本義肢装具士協会

協会について

ごあいさつ

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2023年7月に、野坂利也前会長の後を引き継ぎ第7期会長に就任しました東江由起夫(あがりえ ゆきお)です。

私は、1985年3月に国立身体障害者リハビリテーションセンター学院義肢装具専門職員養成課程(現義肢装具学科)を第1期で卒業し、その後、同センター研究所補装具製作部、オットーボック・ジャパン株式会社、早稲田医療技術専門学校(現人間総合科学大学)を経て、現在は新潟医療福祉大学リハビリテーション学部義肢装具自立支援学科に勤務し、義肢装具士の養成教育に携わっています。皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

当協会は、1993年5月23日、日本で唯一、義肢装具士の職能団体として設立されました。2017年には内閣府から公益社団法人として認可をいただき、定款には「義肢装具士の資質の向上及び知識・技術の研鑽に努めるとともに、義肢装具をはじめとした福祉用具の普及・発展を図り、国民の保健・医療・福祉に寄与することを目的とする。」と掲げ、社会全体に利益をもたらすよう活動に取り組んでいます。具体的には、学術大会、研修会、セミナー等の開催、学術誌・会報誌・白書等の発刊、義肢装具士の生涯教育の開催、義肢装具士養成教育への参画、国際貢献活動等の事業を行っています。

義肢装具士法は1987年に制定され、「「義肢装具士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいう。」と定められています。その業務は、健康保険法における医療保険制度と障害者総合支援法における補装具費支給制度の2つのファンドで主に業務展開をしています。分かりやすく言うと医療と福祉ということになります。

医療(医療保険制度)では、医師の指示下、骨折用の免荷装具、脊柱側弯症等の変形防止および矯正装具、腰痛症等の支持固定用装具、膝関節及び足関節等靱帯損傷における支持固定用装具、脳血管障害等の麻痺に対する機能補助装具、足の変形等に対するインソールや靴など、整形外科および脳神経外科等の領域の治療用義肢装具の製作適合を行い、患者様の治療ならびにリハビリテーションに参画しています。

福祉(補装具費支給制度)では、先天的に手足が無い人や疾病・災害等で手足を切断した人の元の手足の機能と形態を補う義手義足の製作適合を行っています。また身体の一部またはすべてに麻痺や変形等が生じた人の四肢・体幹の機能障害を軽減および補助する装具の製作適合についても行っています。このように更生用義肢装具の製作適合を通して障害のある方の日常生活や就労及び就学を支えています。

近年、日進月歩で発展している動力装具や電動義手、電子制御膝継手等のハイテクパーツは、義肢装具士の適合技術によって個々の患者様や障害のある方の身体の一部に繋ぎ合わされてはじめてその機能を発揮します。このような生体と義肢装具を繋ぎ合わせる適合技術こそが、他の専門職にない義肢装具士が「業」とする特殊技能です。

最近では、3D技術の進歩により3Dスキャナを用いた3D Scanner-3D CAD/CAMシステムによる義肢装具の製作が行われるようになってきています。これまで個人の技能に委ねられていた義肢装具士の適合技術は、今後、こうした3D技術によって数値化・分析され、エビデンスの構築が進み、より適合した義肢装具が提供できると考えています。また3Dプリンタの開発も進み、これまで難しいとされてきました義肢装具の製作も可能となってきており実用化が期待されています。当協会は、こうした3D技術についても研修会等を開催し、医療福祉における義肢装具の製作適合の向上に努め、患者様の治療ならびに障害のある方のリハビリテーションのさらなる推進を図りたいと考えています。

資格制定から35年以上が経過し、現在ではその特殊技能は、超高齢社会の福祉用具の適合にも活かすことが求められています。そのため職能団体として日々「業」とする特殊技能の研鑽に努め、公益社団法人として日本の国民の義肢装具をはじめとした福祉用具の普及・発展を図り、もって保健・医療・福祉に貢献できるよう取り組んで参りたいと思います。

  

                                            2023年7月16日

                                  公益社団法人日本義肢装具士協会会長

                                              東江由起夫

                   (新潟医療福祉大学リハビリテーション学部義肢装具自立支援学科教授)